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特別展の見どころ紹介(2)(2021年6月2日)

造幣局創業150周年記念特別展シリーズⅠ期「1円をめぐる歴史の旅~造幣局150年の歩み~」(本年4月29日からの開催を予定しておりましたが、造幣博物館の臨時休館に伴い開催を延期しております)の開催に先駆けて、当館学芸員が複数回にわたり、特別展の見どころを紹介していきます。
特別展が開催されましたら、ぜひお越しください。

今回は、私たちが普段使っている1円貨幣のデザインにまつわるお話を紹介します。

1円貨幣が現在の形になったのは、今からおよそ70年前、昭和30(1955)年のことです。

当時、戦後まもなく発行された黄銅製の1円貨幣が材料価格の高騰により、わずか2年ほどで製造中止となっていたため、それに代わる貨幣の発行が計画されました。

この時、新しい1円貨幣のデザインは公募を経て決定されることになりました。

貨幣のデザインを公募するという取り組みは、大正6(1917)年に初めて実施されて以来何度かおこなわれていましたが、戦後においては初めてのことでした。

昭和29(1954)年11月10日から受付を開始したところ、新聞やラジオ放送で告知をしたこともあり、応募されてきた図案がたちまち担当者の机に山積みになったそうです。
40日間の応募受付期間に届いた数は2,581点にのぼりました。

応募されてきた図案から入選作品を選ぶ審査会は、翌年1月10日に東京で行われました。

この時、担当者が大阪から東京まで図案を運んだのですが、列車は年末年始の休暇明けでとても混雑しており、大阪から東京までの約8時間、デッキで立ちっぱなしだったという記録が残っています。

審査の結果、別の人物による2つの作品が準1席に選ばれました。

ここから片面ずつを採用し、組み合わせたものが現在の1円アルミニウム貨幣です。

(写真)1円アルミニウム貨幣の写真

つまり、大きく伸びる「若木」の面と「1」の面は、それぞれ別の作者によって考えられたデザインなんです。
現在、私たちが使っている1円貨幣には、2人の作者がいたんですね。

特別展では、昭和30年銘の1円貨幣も展示しています。
皆さんもよろしければ、お財布や貯金箱の中に昭和30年銘の1円貨幣が入っていないか、探してみてください。

(写真)キラキラ☆コインズのわかぎちゃんの写真

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